組織心理学で解き明かす「動く組織」のつくり方

株式会社スタメン カスタマーサクセス部部長の岡崎です。
現在は、エンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」を導入いただいた企業様の組織改善や組織開発施策の実行と推進を支援しています。

弊社が組織改善において重要な要素だと考えているもの、それは「エンゲージメント」です。

「エンゲージメント?」となる方も多いかと思いますが、私は大学時代に組織心理学を専攻し、エンゲージメント起点に組織と人に働きがいを与えるという概念に共感して、新卒で入社しました。

今回は、日々組織改善に携わっているからこそ感じている組織心理学の活かし方についてお伝えします。

目次

組織心理学って?

組織心理学とは、簡単に言うと、職場やチームなど組織内の人間の行動を研究する学問です。組織のメカニズムであるパフォーマンスや幸福度・離職率などに影響する要因を、心理学的視点から解明していきます。

みなさんがよく聞く、「モチベーション」や「働きがい」はもちろん、現代経営において重要視される「エンゲージメント」もその主要なテーマの一つです。これらを高めることが、いかに生産性や利益率といった経営成果に直結するかを追求しています。
(「エンゲージメント」を高めることが企業や職場にとってどのような影響を及ぼすのかという研究も弊社でやれるといいなと密かに野望を抱いてます。)

組織づくりに活かせる2つの理論

組織心理学を学んだ私が、実際に組織づくりに活かせていると感じた理論を紹介します。

自己決定理論|人が動く理由

自己決定理論は、自律性(自分の行動は自分で決めたい)・有能感(自分には能力があると信じたい)・関係性(他者と繋がりたい)という3つの心理的欲求を満たすことが、人が行動を起こすうえで重要である理論です。

また、動機づけには「外発的動機づけ」から「内発的動機づけ」に至るまでに5段階のフェーズがあるとされています。

0. 非動機づけ
1. 外的調整:人から言われたので行動する
2. 取り入れ的調整:羞恥心や罪悪感から行動する
3. 同一化的調整:価値があると感じているために行動する
4. 総合的調整:自分らしさのために行動する
5. 内発的動機づけ:やりがいや楽しさから行動する

自己決定理論の図(出所:https://library.musubu.in/articles/44725

施策を導入する際は、いかに「やらされ感(外的調整)」から「自分事(同一化的調整以上)」へシフトさせるかが鍵となります。          

トランザクティブ・メモリー|組織の知識を共有する

トランザクティブ・メモリーとは、組織全体が同じ知識を記憶するのではなく、組織内の「誰が」「何を」知っているのかを把握している状態を言います。
組織が大きくなればなるほど、「この情報って誰に聞いたらいいんだろう」「質問をたらい回しにされました…」という困りごとは発生します。

トランザクティブ・メモリーが体系化されていれば、検索コストが削減され、パフォーマンスの向上が見込まれています。これは組織側のコスト削減だけでなく、従業員体験における「情報の透明性」にも直結します。

出所:https://hteam8.work/wp/management-theory/2-14/

組織心理学をもとにした組織づくりの実践

自己決定理論の応用|動機づけで習慣化を進める


組織開発施策において最大の壁は、制度の「形骸化」です 。たとえば、新しい情報共有ツールや制度を導入する際、伝え方によって定着率や利用率は大きく変わります。

どのような施策もここが肝心で、組織改善の取り組みをいくら行ったとしても、そこにユーザーがいなければ意味がありません。
しかし、施策が定着するかは、組織文化や、施策の背景を理解しているかどうかなど、さまざまな要因があり非常に難しいです。

例えば、チャットツールを新しく導入したとして、下記のような3社3様の伝え方があります。(あえて極端な伝え方にしています)

A社:「ツール導入しました、いつでも自由に使ってね〜」
B社:「お前ら、お金かけてこのツール入れたんだから絶対使えよ」
C社:「メンバーのみんなにはコミュニケーションをよりスムーズに行ってもらいたく、ゆくゆくは一人一人のパフォーマンスを上げて、どこの会社でも活躍できる人を増やしていきたいからこのツールを導入しました。まずは積極的に触ってみてほしい!」

皆さんはどの会社が習慣的な利用をしてもらえると思いますか?

結論、A<B=<Cの順で習慣的な利用を促しやすいと考えています。

A(非動機づけ):「自由に使ってね」
→ 目的が不明確で誰も動かない。習慣的な利用が実現しづらい。
B(外的調整〜取り入れ調整):「コストをかけたから絶対使え」
→習慣的な利用は促せますが組織改善という長期的な視点では、「やらされ感」につながりやすい傾向がある。
C(同一化的調整〜内発的動機づけ):「みんなのパフォーマンスを上げ、市場価値を高めるためにこの仕組みが必要だ」
→組織改善までスムーズに行うことが可能です。

BとCにあえて=<としたのは、習慣的な利用という視点だけで見ると、Bの方が良い(または慣れている)ケースがあるためです。
とはいえ、弊社ではエンゲージメント向上、そして組織改善までを視野に入れているため、導入目的を経営陣から伝えることを推奨しています。

また、「外発的動機」を「内発的動機」のきっかけにする設計も有効です。

弊社では、会社として取り組んでもらいたい施策に対して、社内ポイントを取り入れ、積極的な活用を推進しています。ここでよく聞かれるのが、「ポイント獲得が目的になって、良くないのではないか?」という懸念です。

結論、それでも良いと思います。

なぜなら、「会社として取り組んでもらいたい施策」だからです。
さらに言うと、取り組んでもらいたい施策であればあるほど、ポイントの比重を高めており、ポイント獲得数が多い=企業または個人の成長につながるという目的を全施策に散りばめています。

例えば、社内ポイント制度などを活用し、最初は「ポイントのため」という外的な動機で行動を促します。しかし、その行動に対して周囲から「称賛や反応」が返ってくることで、「認められて嬉しい」という内発的な喜びへと変化し、施策が利用され、組織文化として定着が進んでいきます。

トランザクティブ・メモリーの応用


エンゲージメント向上のプロセスは、「知る→理解する→共感する→行動する」という4ステップです。
そして、最初のステップである「知る」がとても重要なことをさまざまな企業様を支援する中で感じています。

さて、突然ですがコミュニケーションを取りやすいのはどんな状態でしょうか?

最初の「知る」を仕組み化するために推奨しているのが、社内SNSやポータルサイトでの自己紹介のような「人となりを可視化する」施策です。相手を知っていることは、コミュニケーションの心理的ハードルを下げ、失敗や意見を許容し合える心理的安全性の土台となります 。

また、日報や1on1、シャッフルランチなどの交流で生まれる「誰が何を知っているか」の共有は、単なる効率化ではありません。お互いの専門性や価値観を尊重し、助け合える関係性をつくることそのものが、組織改善の第一歩です 。

組織は日々変わっていくもので完成はなく、組織改善も「制度を作って終わり」ではありません。

人の心理プロセスに基づき、「文化・仕組み・マインドセット」のすべてに働きかけることで初めて、組織は自走し始めます 。

皆さんの組織でも、まずは「知る」という仕掛けを見直してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

株式会社スタメン カスタマーサクセス部 部長。
広島県出身、中央大学 商学部を経て新卒で2019年からスタメンに入社。
営業→マーケティングを経験し、現在はカスタマーサクセス部でエンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」の導入企業様へ初期設計〜運用改善の支援に従事。

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