株式会社スタメンで、カスタマーサクセス責任者(VP of Customer Success)を務めている山田です。
HRTechを導入したものの、
・現場の利用が広がらない
・「また新しいツール?」と冷めた反応をされる
・一部の推進メンバーだけが頑張っている
こうした状態に陥った経験はないでしょうか。HRTech導入の成否は、導入時の設計でほぼ決まります。
重要なのは、ツールの機能以上に「どういう前提で導入するか」というスタート時の視点です。
丸投げした瞬間に失敗する
私の経験上、どれだけツールを提供する側が努力しても、活用や運用を顧客から「丸投げ」されてしまうと成果は出ません。
パーソナルジムに例えると分かりやすいです。高い入会金を払ってトレーナーをつけただけで痩せられる人はいません。夜に暴飲暴食をしたり、食事管理をおろそかにすれば、いくら優秀なトレーナーが横にいても結果は出ない。
これはHR Techでも同じです。当事者である組織自体が「変わろう」と腹を括らなければ、本質的な成果は得られません。
多くの失敗に共通しているのは、活用が「他人事」になる構造です。
・人事が頑張るもの
・ツールの提供会社がなんとかしてくれるもの
・使えと言われたから使うもの
この構造のままでは、エンゲージメント向上や文化醸成は起きません。
だからこそ、いちばん初めに「どう向き合うか」を設計する必要があります。
「50.1:49.9」の絶妙なバランス
最初に明確にすべきなのは、誰が主体かです。
HRTech導入がうまくいく組織には、共通点があります。
それは、自社が“わずかに重い”構造をつくっていることです。
イメージは「50.1:49.9」。
50.1 → 自社が主体性を持つ
49.9 → ベンダーは伴走者として支援する
このわずか0.2の差が、「自分ごと」として動けるかどうかを左右します。
完全な50:50は、一見フラットに見えて危険です。
責任が曖昧になり「やってくれると思っていた」「なんでやってくれないの」という状態が生まれやすいからです。厳しい言い方をすれば、フラットという言葉に逃げ込んだ、実質的な“他責”だと思っています。
例えば、顧客から「運用の旗振りは山田さんがやってくれるんですよね?」と言われた時。私は「旗を振るのは御社です。私たちはその旗を一緒に大きく見せる方法を考えます」と伝えます。
これが50.1対49.9のスタンスです。
「この取り組みは会社としてやる」という覚悟が成功のための出発点になります。
成功の定義設計
次に必要なのは、「何を成功とするか」の明確化です。
「エンゲージメント向上」や「理念浸透」、このままでは抽象的ですよね。
重要なのは、「このツールを使って、誰のどんな行動を変えるのか」を言語化することです。
例えば「サンクスカード」という機能なら、ただ「カードを送付できる」ことが重要ではありません。
「現場で感謝が自然に生まれる」「理念が日常会話に乗る」といった行動変容を起こせてこそ価値になります。
成功の定義が共有されれば、「これはそのための手段だよね」「今は試行段階だよね」という共通言語が生まれます。
ツール導入をスタートとした、変化のゴール設計こそが本質です。
「機能」の話に終始していないか?
社内理解がうまくいかず失敗に陥りやすいのが、ツールの機能説明で終わることです。
ですが、伝えるべきは、使い方や何ができるかではなく、なぜ今これをやるのか、どんな意味があるかです。
ツールの機能の説明ではなく、施策やツール導入の意味を翻訳して社内に伝えることが成功の秘訣です。
スタートが文化を決める
HRTechの導入は、あくまでも組織改善プロジェクトの「手段」ではないでしょうか。
誰が主体か
何を成功とするか
どこから始めるか
逆にここが曖昧なままでは、どれほど優れたHRTechであっても「成功した」というゴールに辿り着くことは難しくなります。
ぜひ、「単なるツール導入」から脱却し、組織の未来を変えていっていただければと思います。

