エンゲージメント組織の実現に必要な最後のエッセンス

スタメンで執行役員CPOをしている長田です。

スタメンではTUNAGというエンゲージメントSaaSを提供しており、日々お客様のより良い組織文化の構築や組織課題を解決すべく日々支援しています。カルチャーや仕組み、オペレーションで組織は確実に強くなりますし、理想的な組織は個人に生きがいと働きがいをもたらしてくれると思っています。

今日は、そんな私がお伝えしたいのは、「エンゲージメント組織に必要な最後のエッセンス〜誰も教えてくれない組織理解と個人の向き合い方〜」についてです。

ぜひ下記の課題を抱えている方は、参考にしていただければと思います。

  • 評価に納得できず、キャリアの停滞を感じている20代~40代の方
  • 与えられた環境で最大限の成果を出したいと考えている、向上心の高い方
  • 上司や組織を理解したい、前向きに関係を構築したいと思っている方
  • 自分の成長が会社の成長につながることを信じている方
  • 「自分には何ができるのか」を常に問い続けたい方
目次

経歴:「優秀そう」に見える経歴の裏にあった、不安と葛藤

本題に入る前に、私のこれまでの経歴を紹介したいと思います。

2010年 新卒でITベンチャーの立ち上げを経験。日曜に出社して土曜に帰宅する。今では考えられないコンプライアンス的にも完全にアウトな環境でしたが、当時はそんなカオスの中で必死に食らいついていました。

2014年 グローバル拠点を持つシステム開発会社に入社。法人営業を経験し、徐々にシステム開発を学び、営業責任者を経て開発事業部長を経験。同社にて、グループ執行役員、子会社代表取締役(M&Aを含む2社)、APAC管轄の責任者などを経験。35歳の時にはグロース市場への上場も経験しました。

マネジメント経験のある組織規模は30名〜900名。売上規模は3億円から120億円(うち、自身の管轄は75億円)の成長を牽引してきました。

一見すると、すごい経歴に見えるでしょう。 しかし、私自身の感じ方は全く違います。

ただのサラリーマンとして入社した私が、上場会社の役員になるまで、評価への不満、人間関係の悩み、「このままでいいのか」というキャリアへの不安を抱え続けてきました。そう、常に組織の中で、不安と不満、そして葛藤の繰り返しでした。

そんな私だからこそ、社員からの成り上がり役員として共有できることがあると思っています。

理想と現実のギャップを埋める

冒頭で述べた通り、今回お話しするのは、「エンゲージメント組織に必要な最後のエッセンス〜誰も教えてくれない組織理解と個人の向き合い方〜」についてです。

このテーマに至った背景を説明させてください。

理想的な組織の構図

組織には仕組み(ルール)があり、カルチャーがあり、業務に必要なオペレーションがあります。これらを整備することは事業成長に非常に重要であり、社員が迷いなく、業務に集中することができるようになります。また、個人のキャリアは人生そのものなので、メンバーのスキルとスタンスを伸ばしつつ、自己実現とやりがいを提供する。これが理想的な構図です。つまり、組織の仕組みやオペレーション、カルチャーという基盤があり、その上に個人のパフォーマンスがあって、初めて事業成長と個人のキャリアが同時に構築できるということです。

現実はそう単純ではない

しかし、現実はそう単純ではありません。むしろ、うまくいかないことの方が多いです。

一般的に言われるような「上司ガチャに外れた」、「挑戦できる環境がない」「評価に納得できない」「上司が見てくれない」。こうした声は、どこの組織でも聞こえてきます。

組織としても頑張っていて、1on1などを通じてメンバーともしっかり向き合っています。メンバーも上司に言われた通りに動いています。なのに、評価されない。こういう事象は常にありますよね。

では、なぜ、評価への不満、組織への違和感、人間関係の悩みなどが生まれるのでしょうか。

良い会社だからこそ見えてくる矛盾

我々が支援している会社には素敵な企業が多く、また私が所属するスタメンもとても素敵な会社だと思っています。しかし、良い会社であっても一定の不満は常に存在しており、「会社と合わなかった」で片付けてしまっていることをよく目にします。

この事象に、いつももったいなさを感じながら、日々を過ごしています。

良い会社でも不満はある。これが現実です。

組織としての仕組みもよく、経営者もマネージャーも頑張っている。もちろん社員も一生懸命である。しかし、よい会社=良い従業員体験と必ずしもならないという意外な落とし穴があると考えています。

皆さんは組織と向き合うための型を持っていますか?

よい会社=良い従業員体験と必ずしもならないという事象に対して、一つ、重要な問いを投げかけたいと思います。

皆さんは組織と向き合うための型を持っていますか?

  • 組織とは
  • 目標設定と評価とは何か
  • スタンスとは何か
  • 上司とは何か
  • 成長できる環境とは何か

明確に持っていると答えられる人はかなりレアな人だと思います。

私自身も、組織とはどういうものか、どう対峙すべきか深く考えていませんでした。しかし、何をやってもうまくいかず、無駄が多く、ピントが合わない事態が頻繁に発生したのです。そこで、自身の成長と組織への貢献のため、一旦物事を俯瞰して見てみよう、と思った時期がありました。

個人から見た時に、組織の中にある要素や特性を理解せずに仕事をすることは、ルールを理解せずにスポーツをすることや、説明書を読まずに家具を組み立てることに等しいと思っています。つまり、組織の仕組みやルールの理解、自身のスキル向上の前提となる会社の原理原則を理解することが、最終的なスキルの向上とやりがいの創出につながる第一歩であり、誰でも持てる武器となるのです。

1. 組織は特定の個人のみを幸せにするために作られていない

まず誤解のないように述べておきたいのは、組織の悪を問いたいわけではないということです。会社は組織全体の成長と事業の成長を目的とし、その過程で社員の成長ややりがいも創出しようと、様々な制度や仕組みを構築します。すべての社員を幸せにしたいという真摯な気持ちで、多くの検討が重ねられているのが実態です。

ただし、ここで根本的な前提を理解する必要があります。それは、組織は特定の個人のみを幸せにするために作られていないということです。

組織は全体最適と再現性のある仕組みを重視するため、個人の意見がそのまま聞き入れられることは難しいのが現実です。これは組織の効率性と公平性を保つためであり、悪意あるものではありません。

理屈として、多くの人がこうした組織の本質を理解しています。けれども人間は主観が強い生き物で、自分の状況が思わしくないときには、どうしても「私は」「僕は」という気持ちになりやすいもの。そうした時こそ、一歩引いて冷静に考えることが大切なのです。

また、この前提を理解できない限り、会社への不満は消えることがありません。しかし、この前提を理解し、組織と自分の関係を客観的に捉えることで、自分がどう行動できるか、どのような価値を生み出せるかという建設的な思考へとシフトできます。

2. 評価制度は完璧ではない。だからこそ目標設定に目を向けよう

評価制度は原則として、「頑張った人、成果を出した人に対して、公正な判断のもと、評価する」ことです。この思想はどこの会社でも大きな差はありません。

一方で、社員として評価制度を完璧なものとして捉えるのは危険です。そもそも人の営みは定性的なものであり、全てを数値化することはできません。つまり、どこまで行っても曖昧さが残ってしまう事実があるのです。

納得を評価の判断に委ねると、認識や期待値のギャップが出やすくなります。

前職での失敗から学んだこと

前職時代、私も3年くらい給与が上がらないことがありました。成果も出しているし、上司も「頑張っている」と言ってくれているのに、評価されない。完全に腐りそうになっていました。

何がいけなかったのか、どこが評価されなかったのか、どういった判断が下されたのか必死に質問していました。そうです。私も評価の基準や判断を理解しようとした1人です。

深掘りを重ねてたどり着いた結論は一つ。上司との認識と期待値にギャップがあったということです。

評価から目標設定へのシフト

だからこそ、それ以降は評価に目を向けるのではなく、目標設定に目を向けるようになりました。

そもそも目標を達成した時に、どういう評価がなされるのか。給与は上がるのか。マネージャーになりたいのであれば、どういった状態になっていたらクリアなのか。正直、時間が許す限り上司に時間を割いてもらうようにしました。

もう一つ大きな発見がありました。それは目標はいくらでも高くも設定できるということです。 自分がどんどん成長したいと思ったら、2段、3段先の目標を設定することは選択の自由としてあります。

評価に自由はないかもしれません。しかし、目標設定には自由がある。 つまり、自己成長するための材料を自分で仕込むことができるのです。

3. 能動的な人物はスタンスが良い人物になりがち

どの組織でも「スタンスが良い」という言葉をよく耳にします。一方で、スタンスが良いの定義は曖昧で、何を指しているのか分からないことが多いです。

この謎めいたものを言語化することに挑戦した結果、スタンスという言葉に含まれる要素が多すぎでまとめることができませんでした、、、

それでは困るので、別の仮説を立て、検証を行いました。

「能動的な人物はスタンスが良い人物になりがち」

ここでいう能動的な人とは、組織の課題に気づき、提案・推進を持って課題を解決してくれる人を指します。

つまり、上司が「これ困ったなあ、どうしようかなあ」と言っているのに対して、あなたが「この課題はこういう選択肢がある中で、これを選択するのが最善だと思うのでやっておきます」と返す。この状態を作ることです。

その時、上司は「あいつ気がきくなあ」と感じるのです。

能動的な人の3点セット

能動的な人は、以下の3点セットを持っています。

課題思考 > 選択肢 > 意思の提示

課題思考:何について話しているのか
何について話しているのか、これを明確にすることです。これがズレると全てがズレます。簡単な話に聞こえますが、意外に会議ではどんどん話が発散していくのをよく目にします。

家族や友人との会話は対話型です。これは会話のラリーの中で、テーマがどんどん移り変わる構造を指してます。一方、業務を推進するときには、集約型の会話が必要です。

つまり、何について話しているのか、ここを明確に持って進めないと、1時間打ち合わせをしても発散して終わることになります。皆さんも心当たりがあるのでは?

ですから、何について会話するか、何を解決するのかを常に話題の中心に置かなければなりません。

選択肢:「で、どうするの?」に答える
「こんな課題があります」「こんなことが起きました」という報告をよく耳にしますが、ここで終わると「それでどうした?」で終わってしまいます。
シンプルに、どう解決するのかの選択肢を持つだけの話です。複雑なことではありません。

ここに関しては、選択肢や打ち手の話なので、ほとんどの方が実践できるケースが多いです。

意思の提示:提案型で持ちかける
意思決定は責任者の仕事と思っている人が多いと思います。しかし、意思決定の提案をするのは自由です。「課題はAで、打ち手は1、2、3があって、どうしますか?」は台無しです。
だからこそ、「私はこれを進めたいです」という提案型に持っていきましょう。

この課題思考、選択肢、意思の提示の3点セットをひたすら繰り返すことで、精度が上がり、自分が業務で対応できる幅が広がっていきます。とにかく、この中のどれか一つではなく、これら3つが1セットとして機能することが重要です。

4. 上司=意思決定者という思考を捨て去る

前項でも触れましたが、上司や役員と対峙する時に、意思決定は上の人がするものと考えてしまうことが多いです。確かに間違いではありません。役割や職能に権限は付き物なので、最終的な意思決定をすることはあります。

ただ、私が言いたいのは、個人から意思決定を奪うと、脳死状態の作業者になっていくということです。

意思決定を委ねる、意思決定材料を与える、意思決定の提案をする。

この3つにはとてつもない差があると思っています。

どんなに作業ができても、意思決定ができないと任される仕事は限定的になってしまいます。そうなる前に、意思決定を提案する習慣をつけてください。

つまり、上司が意思決定しなくても困らない状態を自ら作る意識が、自身の成長やチャンスに繋がっているのです。

副次的な効果:上司を選ばなくなる

副次的な効果として、上司を選ばなくなるということが起きます。もちろん上司は優秀であるに越したことはありません。上司ガチャという言葉が存在するように、自分の上司は選べないケースもあるかと思います。優秀といわれるほど、どこで何をしても結果を出してくるものですが、その本質は「意思決定を提案できる状態が作れている」のだと思います。

5. 成長の伸び代は業務内容と学習のみではない

結論から言います。自分の業務以外の仕事に首を突っ込んでみてください。
営業であれば、マーケティングやCSなど近い領域から始め、最終的にはコーポレート部門までたどり着くのもありだと思います。

ちなみに私が経験したことのある部署は、営業、マーケティング、人事、経営企画、情シス、開発部門、経理など多岐に渡ります。このほとんどが自身の管轄業務ではなく、「ちょっと手伝ってみる」から最終的に業務全般を経験することになりました。

キャリア構築における成長の源泉

キャリアを築いていく中で、誰しもが学習や業務経験で能力の向上を図ります。ただ、多くの人が自身の業務での経験をベースにし、プラスで学習する機会を設けているというのが大半かと思います。

もちろんそれでも十分ということもありますが、成長を促す要因として環境は非常に重要です。選択肢が他にもあるということを知っておくのは損ではないと思います。

つまり、自身の管轄業務 + 学習 + 他部署の業務に取り組むことで、自身の成長にレバレッジをかけるというのが結論です。

組織の分断という構造的課題

現在の組織には様々な型が存在しており、その全てが事業運営を効率的に行うことを目的としています。一方、弊害は業務の分断です。個人としての業務が限定的になり、偏りが生まれるということです。

この考え方は、ジェネラリスト、スペシャリストのどちらのキャリアにおいても必要ないということはありません。様々な業務は部門、事業、会社という単位で最終的には繋がっていることを考えると、自身の業務の周辺領域は少なくとも理解しておくことで、思考性や判断力に多くの視野を取り込むことができます。

「それは自分の業務ではない」という罠、「これは自分の業務ではないのでいいです」という言葉をたまに聞きますが、そこには他の人とは異なる伸び代があるにも関わらず、切り捨てることは非常に勿体ないなと感じます。

まとめ:組織と個人のシナジーを理解する

ここまで述べてきたことを、一つに集約するとこうなります。

この5つの要素は、個人が組織内で自律的に成長するための枠組みを段階的に構築することを示しています。

最初は、組織の構造(1.組織は特定の個人のみを幸せにするために作られていない)を理解することで、原理原則を理解します。次に、評価制度という「外部基準」に依存するのではなく、目標設定という「主体的選択」に軸足を移す。(2.評価制度は完璧ではない。だからこそ目標設定に目を向けよう)。そこで得た自由度を使って、実際の業務で能動的スタンス(3.能動的な人物はスタンスが良い人物になりがち)を実装し、意思決定の習慣をつける(4.上司=意思決定者という思考を捨て去る)。最後に、自分の職能を超えた多角的な成長経験を積み、自身の経験値にレバレッジをかける(5. 成長の伸び代は業務内容と学習のみではない)ことで、個人の成長の自律化サイクルが完成し、これが私自身のキャリアにも大きな影響を与えています。

つまり、良い会社を選び、組織を理解し、その中で自分がどう向き合うかという組み合わせこそが、最大の成長につながると思っています。

多くの人は、上司、組織、環境、評価、スタンスといった表層的な要素に目を向けがちです。しかし本当に重要なのは、それらの本質を理解し、自分の向き合い方を見直すことなのです。この記事がそのきっかけになれば幸いです。

組織と個人の関係は、一方だけでは成り立ちません。組織の基盤があっても、個人の姿勢がなければ機能しません。逆に、個人のスタンスがあっても、組織の基盤がなければ疲弊します。その両方が多くの社員の個人レベルで合致した時に、初めてエンゲージメント組織は完成するのです。

あとがき

組織に不満を持つ人は、よくしたい、変えたいという思いが強い方が多いと考えています。私自身が組織の中で踠き、苦しんだように、組織に良い影響を与えることも、自身のキャリアを築くことも「組織理解と個人の向き合い方」を理解していなければ、間違った努力になることが多いです。

だからこそ、組織の原理原則を理解し、目標設定に力を入れる。能動的に課題に向き合う。意思決定に挑み、経験値の幅を広げることで、個人と組織の間によいシナジーを起こしてほしいなと心から願っております。冒頭、組織は会社は特定の個人のみを幸せにするために作られていないと書きましたが、全員が幸せになれる会社をどの経営者も望んでいるはずです。
理想的な組織を実現することと、個人の幸せをトレードオフの関係にするのではなく、自身の会社との向き合い方を今一度見直し、1人でも多くの人が幸せなビジネスライフを遅れることを切に願っています。

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この記事を書いた人

早稲田大学教育学部卒業後、2010年に新卒で株式会社フロムスクラッチ(現株式会社データX)に入社し、営業や新規事業立ち上げに携わる。2012年に株式会社モンスターラボへ入社し、法人向け企画営業として新規顧客開拓、プロダクトマネージャーとして4億規模の大型プロジェクトの成功に貢献。2016年に執行役員に就任し、組織統合や経営基盤の整備を推進。2021年7月には株式会社モンスターラボおよびグループ会社2社の代表取締役に就任し、APACリージョンを中心に企業成長を牽引。2024年6月にフェローとして株式会社スタメンにジョインし、プロダクトマネジメントに従事。2024年8月からはプロダクト開発部部長としてプロダクト組織強化に従事。 2025年1月に執行役員 CPOに就任。

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